2022年11月01日

2022年10月ラジオ 森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。

2022年10月7日(金)☁️/☔

今日は月1ラジオの日。
10月に入り、お出かけしやすい季節になってきました。
そして、松の緑が一番のきれいな季節です。
今月は、「森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。」について、造園の専門職で栗林公園に勤務したこともある豊田真弓さんと会長和田でお届けしてきました。
2022年10月ラジオ 森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。

以下、放送の概要です。

1.始めに
・10月に入り、行楽シーズンになった。
・いつ行っても素晴らしい景色がみられる栗林公園だが、10月11月は松に緑が映えるシーズン。
・11月になると紅葉やライトアップとますます、魅力的なシーズンとなる。
・今回は借景となる紫雲山とお庭との関係や素晴らしい松などにスポットを当てて、栗林公園魅力を再発見したい。
2022年10月ラジオ 森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。

2. 栗林公園について
・お庭の国宝「栗林公園」。
・「国の特別名勝」に指定され、文化財庭園の中で最大の広さを持つ。
・特別名勝は日本で23箇所。うち13箇所は京都にあり、四国では栗林公園だけ。
・高松藩主松平家の別邸として、歴代藩主が100年以上修築を重ね300年近く前に完成。
・緑深い紫雲山を背景に6つの池と13の築山を巧みに配した、江戸時代初期の回遊式庭園。
・春夏秋冬と四季折々の風物にも恵まれ、季節の花々、一千本以上もの見事な松、名石などからなる変化に富んだお庭の風景は、一歩歩くごとに風景が変わり、一歩一景と言われる。

3. 奥行を与える紫雲山
・平面の庭園部だけでも16haと広い栗林公園であるが、背景の紫雲山まで面積に含まれるためその広さは75ha。
・栗林公園のように、広い池をもち、その周辺をいろいろな角度から鑑賞し楽しむ造園の技法を池泉回遊庭園(ちせんかいゆうていえん)という。
・大きな池の周りに起伏にとんだ地形で山や谷を表現し、池の周りを散策できるように作られている。
・広い園内を回りながら様々な景色を楽しむのが最大の魅力。
・それに対し、京都には「特別名勝」に指定されている庭園の多いが、そのほとんどが一定の視点からの眺めを追求した「座観式」と言われるもの。
・栗林公園の魅力は歩くたび異なった風情をみせる「歩景」。「一歩一景」と言われるゆえん。
・そのお庭の魅力を引き出すのになくてはならないのは、背後の緑の深い紫雲山。
・庭と紫雲山が一体化し、より奥深い景観を作り出している。
・紫雲山とは北に位置する稲荷山と南の室山の2つの山の総称。
・栗林公園はどの部分もこの紫雲山を背景として、借景として作られている。
2022年10月ラジオ 森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。

4.借景って?
・日本庭園や中国庭園における造園技法のひとつ。
・庭園外部にある山や樹木などの風景を、庭の一部として取り入れるもの。
・栗林公園は借景の手法が取り入れられていて、お庭の背景として重要な役割を果たしている。
・紫雲山がなければ、ここに栗林公園は作られなかったとも言われている。

5.お庭の見どころポイント
・栗林公園は、江戸時代初期の大名庭園としてつくられた南庭、明治以降に近代的な公園として整備された北庭に分かれている。
南庭
・生駒家の築庭に始まり松平家5代100年余りで磨き上げた南庭には、北湖と南湖の2つの池があり、それぞれに見晴らしのために造られた築山がある。
・北湖の築山、芙蓉峰に登ると中心に朱塗りの梅林橋、北湖越しに紫雲山が広がる。
・紫雲山の緑が梅林橋の赤色を引き立てて美しい景色をつくっている。
・南湖の築山、飛来峰からはシンボルともいえる偃月橋(えんげつきょう)や神秘的な石組みの仙磯(せんぎ)のある南湖越しに紫雲山が見える。パンフレットにも使われる栗林公園の代表的な景色。
・どちらの築山の登るときには狭い石階段を登り、下に視線を向くようにしながら、頂上についたときに紫雲山を背景とした壮大な景色が広がるように庭造りがされている。

・広い公園を歩いて楽しむために常に背景の紫雲山に目を持っていくような庭づくりになっていて、この山がなければ落ち着きのない空間になってしまう。
・そのため、公園部分だけではなく借景である紫雲山を守るため、紫雲山は国が所有する国有林であるが、公園側から見える紫雲山の部分は県が借り、庭園と一緒に管理をしている。
・紫雲山の深い緑は松が多くあることによって保たれていて、この景観を守るために県では松くい虫の防除なども行い、大切に守っている。
2022年10月ラジオ 森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。


6.1000本の松の手入れ
・借景にも松は多いが、庭園部には約1400本の松がある。
・このうちの1000本の松が人の手が入るいわゆる「手入れ松」。
・この松の美しさが評価されフランスの旅行ガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」の三つ星に選ばれた。
・1000本の松を14人の造園課職員が担当している。
・10月、11月は松の緑が美しい季節。じっくり鑑賞してみてはどうか。

7.紅葉の季節
・これからの時期は何といっても、紅葉。
・楓岸という南庭の南湖の岸にはたくさんの紅葉が色づく。
・庭園はエリア分け北湖が桜。
・掬月亭から見ると、南湖とのコントラストが美しい。
・赤や黄色に色づく紅葉を引き立てるのが、借景の紫雲山の緑。
・このように色のコントラストが庭全体を引き立てる。
・借景にはそのような役割もある。
・紅葉が深まるころに、秋のライトアップが開催される。
2022年10月ラジオ 森が引き出す栗林公園の魅力。借景から栗林公園の魅力を考える。

8.まとめ
・この見事な松たちがあるのも、香川が盆栽の産地でたくさんの腕のいい職人さん達がいて、長い時間をかけて手入れを続けてきたからだと思う。
・木も石も池も自然の造形を長い時間かけて人々が作り上げてきたからこそこの素晴らしさがある。
・お庭も森や木と同じように、人が手入れをしていかなければ荒れてしまう。
・森にはお庭を引き立てる借景としての役割もある。
・お庭部分はもちろん紫雲山もこれからも手入れをしていかなければいけない。
・素晴らしいお庭を維持していくためにも、森やお庭を守っていく職人さんを育成していくことが大切。
・栗林公園を多くの方が楽しむことで、樹や森関心を持ってもらえ、その中から木や森を守る人が生まれてきたらいいと思う。
・これからも木や森に関心がある方を増やし、香川の森を元気にしていきたい。

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文責:和田



Posted by 林業女子会@かがわ at 16:31│Comments(0)
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