2023年06月14日

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~

2023年6月2日(金)☔台風

今日は台風2号の影響で警報が出ている中でしたが月1ラジオに出演してきました。

いつもラジオ出演の日は、午後から仕事をお休みするのですが、この日は放送が終わったら大急ぎでタクシーで職場にトンボ帰り。。あわただしい中でしたが、何とか無事に放送出来て、ホッとしました。

毎月第1金曜日の14時20分頃~約20分間。
RNCラジオ わらなきラジオの「林業女子 盛りもりトーク」で「香川県の森を元気にする」ための情報を林業女子のみなさんと一緒にお届けしています。

今回は、林学を学び、森を愛するいつもにっこりの会長和田と造園の専門職で栗林公園に勤務したこともある豊田真弓(とよたまゆみ)さんと一緒に
「栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ」についてお話しました。

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~


以下、放送の概要です。
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0.つかみ(和田)
・いつ行っても素晴らしい景色がみられる栗林公園だが、今は雨に生える花ショウブが見ごろを迎えている。
・一歩一景と言われる栗林公園。庭園風景を形づくっている大きな池が特徴。
・栗林公園では大小6つの池があり複雑な地形を形作っている。
・水不足に悩まされる香川県にあって、栗林公園の池は枯れたことがなく、いつも満々と水が満たされている。
・その秘密について考えてみたい。

1. 栗林公園の池の水はどこからきているのか?(和田)
・栗林公園はできたのは江戸時代。
・そのころ、香東川は石清尾山をはさんで2本に分かれ、現在の高松市中心部を流れる東側は氾濫を繰り返していた。
・高松の城や市街地を守るため、1631年ごろ西島八兵衛が東の流れをせき止め、現在の香東川に一本化した。
・この工事で、東側の流れの跡に豊富な地下水に恵まれた土地が生まれた。
・川がなくなった後も、伏流水が流れていて、豊富な地下水が湧き出ている。
・現在も、栗林公園の東南端には勢いよく水が流れる場所がある。
・「吹上」と呼ばれる公園の水源地で、この水で園内全ての池の水を賄っている。
・現在は、水は園内にある2つの井戸から日量約1800トンの地下水をポンプアップしていて、枯れたことがないそうだ。
・香川大学の長谷川先生は、南湖を掘削した時の土砂で南端に築山をつくった理由として、上流の川の水が氾濫して城下町が水害に見舞われるのを防いだのではないかと想像しているとのこと。
・防災の視点で考えてみると、高松城や城下町を守るために行った治水工事が、栗林公園を形作ったといえる。その考え方は合理的でお見事!

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~


2.栗林公園について(豊田)
・栗林公園は、高松藩主松平家の別邸として、歴代藩主が100年以上修築を重ね300年近く前に完成。(水戸偕楽園は9年、岡山後楽園は13年で作庭。)
・庭園の中でも「大名庭園」と呼ばれるもの。
・その多くは、大きな池の周りに起伏に富んだ地形で山や谷を表現し、池の周りを散策できるように造られた。
・栗林公園のように、広い池をもち、その周辺をいろいろな角度から鑑賞し楽しむ造園の技法を池泉回遊庭園(ちせんかいゆうていえん)という。
・緑深い紫雲山を背景に6つの池と13の築山を巧みに配した、江戸時代初期の回遊式庭園。
・春夏秋冬と四季折々の風物にも恵まれ、季節の花々、一千本以上もの見事な松、名石などからなる変化に富んだお庭の風景は、一歩歩くごとに風景が変わり、一歩一景と言われる。

3.栗林公園の6つの池について(豊田)
・栗林公園には南湖、北湖、涵翠地(かんすいち)、西湖、潺湲地(せんかんち)、芙蓉沼(ふようしょう)、群鴨池(ぐんおうち)(の7つの池がある。
・ところがパンフレットやガイドブックの多くは、群鴨池を除いた6つの池があると表現しており、この6つあわせて「6大水局」と呼ばれていた。
・群鴨池は江戸時代、鴨猟に用いられていた池で芙蓉沼の一部とされていたためである。
・園内の水は、滞ったようにも見えるが、実際は穏やかに流れている池全体が繋がっている。
・はっきりわかるのは吹上。
・勢いよく南湖に流れ込み園内を潤しているのが分かる。
・吹上から出てくるポンプアップした水の温度は、年間を通じて18~20度。寒い冬には池のコイが暖を求めてここに集まったり、季節外れのカキツバタが咲くこともある。
・それぞれの湖について簡単に説明する。

【南湖】
・栗林公園といえば、真っ先に思い浮かべる偃月橋や掬月亭を思いうかべる人も多い。
・飛来峰から見る湖や島の風景も素晴らしい。それらがすべて含まれるのが南湖。
・広さ約7890㎡の大きな池で園内で一番古く造られた。
・南湖には、「楓嶼」「天女嶋」「杜鵑嶼」の3つの島と、「仙礒」と呼ばれる4つの岩を組み合わせた石組みがある。
・3つの島には不老不死の薬があり、仙礒には仙人がすんでいるという言い伝えを表したもの。
・和船が運航しているのも南湖。

【北湖】
・園内に入り、商工奨励館の前庭を経て、箱松、屏風松に覆われた歩道を潜ると朱塗りの梅林橋がある。
・ここから東に広がる池が北湖。
・梅林橋の下に群れるコイに餌をやるのを楽しむこともできる。
・北湖には「前嶼」と「後嶼」の2つの島が浮かび、その東側には、富士山の形をした「芙蓉峰」が築かれている。

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~

【涵翠地】
・掬月亭の座敷から紫雲山を見ると広がる美しい池が涵翠地。
・涵翠地とは、背景の紫雲山の緑(翠)を映す(涵す)池という意味。
・池には「瑤島」と呼ばれる島が浮かんでいる。
・この島の石組みには奇岩怪石がたくさん使われるなど、江戸時代中期の庭造り特徴を今に伝えている。

【西湖】
・西湖は公園西側の紫雲山に沿って細長く造られた池。
・どこか中国の風景がしのばれるような雰囲気が漂っている。
・中国の景勝地の名を取り入れた「赤壁」。そこを流れる「桶樋滝」
・「会僊巌」と呼ばれる自然豊かな風景のみられる石組等がある。

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~


【潺湲地(せんかんち)】
・西湖から芙蓉沼へ流れる池。水がさらさら流れる池という意味がある。
・秋のライトアップではほとりの紅葉の素晴らしさが知られている。

【芙蓉沼(ふようしょう)】
・これからの時期に大型の淡い紅色や白色のハスの花が楽しめるのが芙蓉沼。
・「芙蓉」とはハスをさす言葉で「蓮池」と呼ばれる。
・7月から8月上旬が見ごろ。午後には花を閉じるので午前中が見ごろ。

【群鴨池(ぐんおうち)】
・ちょうど花しょうぶが見ごろなのが、群鴨池。1970年に花ショウブ園が設置された。
・江戸時代は藩主たちがカモ猟を楽しんだ鴨場だった。
・冬場はカモの天国となり、マガモ、カルガモ、ヨシガモ等多くの渡鳥が見られる。

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~


【まとめ】
・水不足が話題となる夏場などに「栗林公園の池の水は枯れないのか?」と聞かれることがある。
・夏も水は枯れないけれど雨は降らないので、毎年、造園課の職員は池の水を活用した水やり作業に追われている。
・水不足の香川県でこれだけの池泉の水を満たす豊富な伏流水があったからこそ、栗林公園は、素晴らしい公園となった。
・栗林公園の8割近くが紫雲山の山林で、平庭部分は約16万2000㎡でこのうち池が約3万5000㎡。平庭部分の約21%を池が占める。
・それぞれの池に特徴があり、池は公園全体の景観に大きな意味を持っている。

4.偃月橋(えんげつきょう)の架け替えについて(豊田)
・栗林公園のシンボルともいえる南湖に架かる「偃月橋」が今年3月、約20年ぶりに架け替えられた。
・三日月のように曲線に反った形は、眺めてよし、渡ってよしの太鼓橋。
・観光客の記念撮影スポットや結婚式の前写しの写真撮影にも活用される人気スポット。
・江戸時代初期に架けられたと推定される橋。
・木製の橋であるため、おおむね20年に1度架け替えが行われる。
・今回は平成13年に架け替えられた橋の腐食が進んだため、5400万円余りをかけて架け替え、3月13日に完成した。
・橋は長さが17.5m、幅が2.6m。手すりなどにはヒノキが使われ、橋脚には水に強いクリ材がつかわれた。
・特に、橋脚部のクリ材は工事関係者一同が驚くほどの太さや大きさだったそうだ。
・多くの人に訪れてもらい、栗林公園の新しい風景に感動してもらいたい。

2023年6月ラジオ 栗林公園の池の魅力~夏でも枯れない池のヒミツ~


5.まとめ(和田)
・栗林公園はやっぱり素敵。
・今回は防災視点も入れて、水不足の香川県でも枯れない池のひみつを探った。
・庭園が高松城や城下町を洪水から守る治水工事によって、形作られたことを学び、防災的観点と庭園建設という一兆二隻の役割を果たすことができた昔の人の知恵に脱帽。
・豊富な水がなければ、栗林公園を代表する松などの木々達も大きく育つことはできなかった。
・偃月橋も20年ごとに架け替えられ庭園の景観を保っている。
・適材適所で橋脚部には水に強いクリの木をつかい、手すりや橋の部分には見た目に美しく香りもいいヒノキが使われる等、ここにも昔の人の知恵が詰まっている。
・公園の景観を維持するためには、定期的なメンテナンスと、日々の手入れが欠かせない。
・木も石も池も自然の造形を長い時間かけて人々が作り上げてきたからこそこの素晴らしさがあり、それが栗林公園の魅力である。
・栗林公園の魅力を知っていただくことで、樹や森に関心がある方が増え、香川の森を元気にしていきたい。

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文責:和田


Posted by 林業女子会@かがわ at 07:22│Comments(0)
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